壺の中の泉

きらめきたい

あたたかい世界にて/「アンナチュラル」10話

 ドラマ「アンナチュラル」が最終回を迎えました。当然のようにロス。でもよかった。はじめに言わせて。
 
 やっぱり木林さんはいい人だった!!!!!(お金が大好きな)(中堂さんにとっての)いい人だった!!!

 終わってから眠りにつくまでずーっと木林さんのことばかり考えていました。もっとたくさん考えることはあるんですけどね。
 いや〜〜木林さん推しててよかった〜〜〜!!!
 思うところはいろいろありますが、簡潔に感想文をしたためます。

すっきり、温かい

 アンナチュラルは解決の仕方が清々しくスッキリする話が多いように思うけれど、最終回はとくにそのテンポが気持ちよかったです。
 久部くん→糀谷さんのお父様→糀谷さんのお墓はアメリカ→土葬!再解剖!できる!という一連の流れがあったからすっきりと途切れた感じがなく見ることができたのかな。所長と東海林さんのアメリカなら燃やしてない!のくだりがめ〜〜っちゃ好きでした。
 最終回で解剖するご遺体が糀谷夕希子さんという点もいいなあと思います。熱い。あと第一執刀医がミコトで、中堂さんは見てるだけというところがいい。
 1~9話のいろんなものを回収しながらあの一瞬の世界に決着を落とし込んだところがすごくいいなと思いました。おもしろい話でした。

世界が好き

 アンナチュラルの好きなところってあらゆる社会問題に対してずばっと切り裂くところ、のように見えてもっと別の部分だと思うんですね。だって意図的ではなく偶然のところもある。それが何なのか、ずっと考えています。
 単に世界に対する解釈がばっちり合うだけかもしれません。それから、くどさがなくてシンプルに潔いところがいい。ただ、そう考えることって別のあらゆるものと比べて相対的に感じているだけ。アンナチュラルにしかない、だからこその要素が、きっと好きなんですけど、どこだろう。兎にも角にも、あの世界がわたしは大好きです。

葬儀屋の話


 界隈が木林さん犯人説にどんどん裏付けしていく中、公式のこのツイート。
 木林さんはいい人だと9話で確信していたのに、さすがにエェ…という気持ちになり、まさかこんな落ち着かない気持ちで最終回を待つとは思いませんでした。
 しかし結局は中堂さんにお金をもらって協力しているだけ。今まで見たことのない木林さんとはルンルン木林さんでした。かわいい。歩き方がモデル。かわいい!かわいいぞ!というかお金が好きなところもかわいいぞ!食いっぱぐれなどしないくせに!
 なんだか結局は謎多きままで終わりました。中堂さんとの関係もきっかけや背景は分からないまま。中堂さんは木林さんがお金好きだって知ってたの?あの気難しい中堂系(41)に全面的に信頼される木林南雲(28)という構図がどう生まれたのか知りたいです。
 ところでるんるん木林さんがたしかに衝撃的で、今まで怪しい風吹かせてたところさえ可愛く見えてきました。
 木林さんの本性ってなんだろうって考えたときに、"お金が好き"ということと"対中堂系の振る舞い"だけは揺らがないのかなあって思います。バランスが絶妙です。中堂さんのやることを止めようとしないし、中堂さんがお金をくれるなら所沢まで運転したり運び屋をやったり何でもやるし、だからこそ信頼できる。同時に中堂さんに救われてほしいと思っているんだろうな、と感じます。9話で中堂さんにまだやるんですかっていう視線を送っていたり、10話のラストでおそらく救われた中堂さんを見る表情に安心感が灯っていたり。ラストの木林さんの中堂さんを見る目がやさしくて、わたしはとても満足です。
 原作がなくてキャラクターが0から作り上げられるオリジナル脚本である今作において、1話から10話にかけて木林さんの存在がしっくりと世界の中に収まったように思います。作品世界が進むにつれて生まれる役者とのリンクは原作モノでもありますがオリジナル脚本はそれがとくにつよい。木林さんに対して最後にそれをしみじみと感じることができました。とは言え、結局なんなの…?!と思わされたり、やはり謎は多いままだったり、すごいなあと思います(小並感)
 続編での葬儀屋木林南雲、楽しみにしています♡願わくば「アンナチュラルスピンオフ~フォレスト葬儀社編~」みたいなやつが見たいです。キャストクレジットのわりと上の方に井浦さんの名前があるやつ。よろしくお願いします!!

旅は続く

 1話を見てめちゃめちゃおもしろくて、毎週見るうちにどんどんハマったアンナチュラル。あっという間の3ヶ月でした。
 続編あるよね!ある!もっともっとあの世界を浴びたい。映画もしてほしいな。大きなスクリーンに映し出されるアンナチュラルが見れたら、なんてしあわせなんでしょう。
 なんにせよ、これからもあの世界は続く。わたしたちはその切り取られた一瞬を覗いていて、少しの間だけその扉が閉まるだけ。「Their journey will continue...」の文字は希望に満ちていました。また覗けることを祈っています。

謎の答えは、不条理な死/「アンナチュラル」9話

 9話を見終えた直後はなんと言っていいか分かりませんでした。犯人は予期せぬ男で。しかも8話の雑居ビル火災の生き残り!そこ!そこからくる…??!相関図にいた人ではない、でも突然現れた全く無関係の人間ではない。そっかーーーなるほど…と思いました。しかし謎の正体は「不条理な死」です。つらい。つらすぎる。
 蟻酸を出さない蟻の死骸から蟻酸検出→蟻酸→ホルムアルデヒド(ホルマリン)+酸素、という流れがとてもおもしろかったです。しかもホルマリンは遺体解剖において最大とも言える盲点。灯台下暗し。めっちゃおもしろい!って思います。こういうとこ。
 灯台下暗しと言えば、神倉さんが警視庁のお偉い方に自分の足元をご覧になった方がいいですよーって言われていたのもそうですね。というか久部くんの件、解決したように見えてしてなかったーーー!
 いよいよ次回は最終話。どうなるんだろう。UDIはいったいどこへ向かうのか。
 

敵はなんだ

 1話でミコトが中堂さんに言った「二人なら無敵」
 中堂さんが聞き返した「敵はなんだ」に対するミコトの答えは「不条理な死」
 中堂さんがずっと追いかけてきた赤い金魚の謎、敵の正体はその通り「不条理な死」でした。
 異常犯罪者による無差別連続殺人…と今の段階では分かっています。
 A-Zの頭文字の手段で殺人を繰り返しているから、手口は毎回違う。不動産屋だから、転機を迎える若い女性を狙える。
 魚のマークが可愛らしい子どものおもちゃを猿轡として使って同一犯のサインとしたり、殺人手段で埋められたかわいいアルファベットのポスターの前でピースで写真を撮ったり*1、殺した女性の靴やカバンなどの色とりどりの所有物を晴れやかな庭で燃やしたり。
 その異常な趣味嗜好が、燃やしてる時に流れる音楽によって強調されていたと思います。
 そんなたったひとりの殺人者のお遊びのために無関係の未来ある人が殺された。あまりにも不条理です。
 でもそんなやつのために中堂さんが人を殺すところは見たくないなあと、やはり今までの話を見てきたからこそ思います。二人なら無敵なんだから、ね!

中堂さんの昔と今

 あの過去があってもなくても中堂さんは傍若無人のオラオラ男。そんな中堂さんが好きよ!ね!かわいい面もたくさんあるもんね♡♡
 糀谷さんとの回想シーンは、中堂さんが昔からそういう感じであることを裏付けるようでした。
 定食屋さんで出会うのってなんだかロマンがあるな〜
 「もう終わりか?」って営業時間を過ぎた定食屋に入っちゃう中堂さんにご飯を出す糀谷さんも、中堂さんを色男に描く糀谷さん*2も、ああ素晴らしき世界…と思います。逆プロポーズされちゃうところも中堂さんっぽい!
 夢を見ること、描くこと、そういうものが"理屈じゃない"と恋人の糀谷さんに教えられた中堂さんが、恋人を殺した犯人は法で裁かれるべきだという理屈はどうしようもないから、"理屈じゃない"問題だから、犯人を自分の手で殺そうとすることは、皮肉な運命だなと思います。
 
 中堂さんは10年前から変わらず、でもやっぱり"殻に閉じこもった"ようになったのはあれからなんだと思うと心が痛い。けれどその殻をUDIなら破ってくれそうだ、と信じたいです。
 

葬儀屋の理由

 木林さんの"良い男度"がものすごい速さで上がっていくアンナチュラル。でもそれって、隠れていたものが少しずつ分かってきただけなんですね。そう、なんせ演じているのが竜星さんですから。それだけで納得しちゃう。胡散臭さと怪しさ満点だった葬儀屋も今ではすっかりUDIとゆかいな仲間たちに馴染んでいます。公式サイトのインタビューページにメインキャスト5人と演出塚原さんに混じっていたから、もはやメインレギュラーでは?!とすら思いました。
 久しぶりに中堂さんと立って話しているところを見ましたが、画面がつよい!と思います。立ち姿がすごい。街中であの二人が並んで話していたら思わず振り向くに違いないです。ちなみに9話の木林さんのベストオブここが好き!ポイントは、お札から中堂さんへの視線の移し方です。
 ついにUDIで赤い金魚のご遺体を解剖することになってもなお協力を頼み続ける中堂さんに対する木林さんの呆れたような顔に、自分にはお金は入り続けるのにまだやるんですかと問うということ。木林さんが中堂さんに協力する理由は、単にお金のためだけではないと今までも思っていました。ですが、9話を見て、もっと別の意味で"お金のためだけではない"と感じました。言うなれば、情。お金をもらっている以上はそれとはちょっと違うのかもしれないけれど、そういうシンプルなものなのかなと思います。中堂さんに根負けしてるところはあるのかな。
 41歳と対等に話をする木林さんもすごいし、中堂さんは一体どこで木林さんを捕まえたんだ?とも思います。
 
 ん〜〜〜木林さんがこんなに優良物件とは思わなかったな〜〜!なんだかすごく、大好きです。



 全10話って、あっという間。こんなにハマるとは思わなかった!ほんとうにおもしろくて、好きな世界観で。終わるのは寂しいし、週末の楽しみが一つ減るのはかなしいし、ロス確定です。
 ただどうにか、あの世界でUDIが輝き続けますように。それだけを祈っています。

*1:あの笑顔にデジャヴを感じていたんですが、人間風車のサムでした。

*2:中堂さんはやっぱりどう考えても色男であった