壺の中の泉

きらめきたい

白米を食べて生きるのだ/「アンナチュラル」7話

 第7話、いじめ問題。アンナチュラルはあらゆることを扱っているなあと思います。次回はおそらく家族問題。
 そういう社会問題に対してスパッと一言で述べるところが好き。というのはよく見かける意見だし、わたしもそう思います。無駄がないところがいいな。とても見やすいです。ところで次回、久部くんが救われそうでよかった。安心するのはまだ早いけれど!
 そういえば、今回の話の後でミコトがそれはもうとってもおいしそうに食べているのが"白いおにぎり"で、ずるいなあと思いました。この世でいちばん尊い食べ物だと日本人のわたしは思います。食べることを大切にしている限りは、わたしがそういうものを主張する立場である限りは、真っ白なご飯の美味しさを忘れてはいけないから。…といった感じで主観にまみれた感想文を今回もつらつら綴ります。

「生存者の罪悪感」

 今週のキーワードでした。専門用語っぽい言い回しをするなあと思ったら、本当にそうみたい。「サバイバーズ・ギルト」と言うらしい。治療を要することもあるっぽいけれど、"残された"人間にとって珍しくないということなんだなあって7話を見て思いました。中堂さんを指して「生存者の罪悪感」の話をしていたし、白井くんもまさにそう。それは単純に伝わってきました。ミコトもそうだ、という描かれ方もしていて当然のように納得しそうだったけれど、そうなの…?!とも思わされました。一瞬だけ。母親に家族をまるごと殺され、自分も殺されかけて、"罪悪感"を感じるんだ~~って。でも、そうだよね。たしかに、そう。単純に納得はできないけれど、一周回って納得した、という感じです。
 「生存者の罪悪感」が拭われないのは「死人に口なし」だから。中堂さんはそれをよく知っている人で、だから白井くんにそう伝えて、「許されるように生きろ」と言えた。あの時、白井くんを止められるのは中堂さんしかいなかったんだなあと思うとすこぶるしんどいです。重い。すっっごい重い回でした。話が重いとか、シリアス過ぎるとか、そういうのではなく。中堂さんがそれを言う、それができる、止められる、そういうすべてが重いと感じました。
 正直5話より重い。5~7話は繋がっていました。殺したやつは殺される覚悟をすべきだという中堂さんの5話、どんなに悪いやつでも殺されるのを見過ごすわけにはいかないというミコトの6話。そして7話、生き残った者が自ら死ぬのを止める中堂さん。ある意味、まさかの展開です。その角度から考えようともしなかったので。
 それに複雑でどうしようもない。中堂さんは「許されるように生きろ」と自分自身にも言い聞かせているのかというと、どうなんだろう…と思います。結局のところ中堂さんの真の目的って何なの?7話のおかげで分からなくなりました。
 生きることってそんなに難しいことじゃないっていう現実を感じつつも、そうすることが難しい一面も多々あるのが現実だって、これまでのアンナチュラルを見てきて思います。「許されるように生きろ」って、重い。今まで描かれてきた現実に重い現実を突きつけられて、余計にしんどいのかな。でもミコトが白いおにぎりを食べるシーンはやはり救いでした。白米を美味しいと感じて生きることをおざなりにしちゃいけない。それだけは揺るぎない事実だと思います。

殺人者の遊戯

 7話のサブタイトル「殺人遊戯」は殺人者Sによる実況のことを指していると思いきや、"いじめ"のことを指しているんだなあと思いました。そんなものはお遊びではない、それは殺人だ。殺人遊戯だ。罪だ。いじめっ子三人組、最初は笑って見ていた委員長、あいつらを犯人に仕立て上げる自殺の方法を"遊び"で企んでいた白井くん、彼らによる遊戯。白井くんが"殺人者S"と名乗ったのは演出のためではなく本音だったのかなと思います。

 ところで、最近わたしは子どもの教育についてよく考えます。大人は子どもに対してどう振る舞えばいいのだろう。何を提示すればいいのだろう。分からない。でも分からないなりに、いいこととよくないことの判別はつきます。よくないことさえしなければ、あとは子ども次第なのかもしれない。よくないこととは例えば、7話で言うと赤ジャージの担任の言動。大人にも分からないことは子どもにもまっすぐ伝わるわけないし、大人が分からないのなら子どもにいろんな世界を見せてあげればいい。まあそのあたりの答えさえ分からないから、トートロジーってやつなのでしょう。余談でした。

「赤い金魚」

 中堂さんがとうとうミコトに協力を要請した!頼み方がかわいい!かわいいぞ!
 初めて「赤い金魚」が目に見えて登場して、さっぱり分からないなと思いました。連続殺人だとして、この痕は何…?何の意味がある?中堂さんみたいな人でなければ気付かない。坂本さんのいる明邦大学でもスルーされた。証拠にもならないらしいから、法医学的初見としては意味がないものなんだろう。だとしたらメッセージということになる。恋人が殺されて解剖する羽目になった中堂さんはきっと徹底的に調べて"赤い金魚"にも気づく。その後繰り返されているということは、他の誰でもない中堂さんに対するメッセージ…?でもそこまで仕組むことって難しいですよね。殺された恋人のご遺体を解剖させるって。できるのかな。分かりません。
 中堂さんに伝わらなきゃいけない。中堂さんに赤い金魚が届かなくてはいけない。それができるのは、誰…?
 今回、葬儀屋木林さんが出なかったんですよね。1話から通して初めてです。いつもなんとかして最後にふらっと現れていたのに。同時刻、新たに「赤い金魚」が発生しました。木林さん、どこで何をしていたの?ラストの「赤い金魚」は普通はこうやって見逃されるんだよーっていう意図だったと思うんですけれど、いつもなら最後にふらっと現れる木林さんの代わり……と深読みおたくは思ってしまいました。中堂さんに赤い金魚を届けられる人物だなあ…って。木林さんが中堂さんに協力している理由もきっかけも、まだ何も分かってなくて結局は謎のまま。
 6話であんなにはっちゃけて、最初は怪しかったけどいい人じゃ~~んって気分になって、7話で出ない。わたしは葬儀屋贔屓だから、出ないことに強く何かを感じてしまうんですが。でもでも、8年前って木林さんは20歳だから、ね。分かりません。このまま謎のマスコット的にいい人であってほしいとも思うし、黒幕な彼も見てみたいとも思います。しれっとインタビューが公開されていましたが、何も分かりませんでした。
 わたしが知っているドラマや映画での黒幕はだいたい相関図の隅っこに何気なく座っている人物です。三澄家は違うって思えるし、まっすぐにマスコミ組ではおもしろくない。残り、当てはまるのは木林さんと刑事さん達。どっちかな。どっちでもないかな。今の相関図にいない人かもしれない。そもそも「赤い金魚」と殺人が関係ない可能性だってある。毎回予想の斜め上を行くから楽しみです。ど、どうなるんだーーー?!
 アンナチュラルにおける木林さんのポジション的重さもわたしには判断できませんが、とりあえず木林さんめっちゃ好きということだけは分かります。だから今後の彼に注目したいし、シリーズ化するとしてずっといてくれ~~とも思うのです。黒幕サイドにいながらずっといることになる…みたいな展開だったらいいなあ。ただの願望です。