古びた壁

脈絡なんてものは知らない

情は必要か/「アンナチュラル」5話

 いつだって人間を惑わせたり狂わせたりするのは"情"なのかもしれない。しかし人間を救うのもまた、"情"なのだ。

 日に日にしんどみが深まる「アンナチュラル」5話‐死の報復‐、ちょ~~~しんどかった!!救いのない回でした。遺体にもその身内にもUDIの人達にも。でも、だからこそ、ここから前に進むんだという感じもして、楽しみです。今回こんなにもしんどかったのに6話が予告を見る限りコメディ色が強くてついていけません(笑)

今週のキーワード「情」

 倫理と感の狭間で何が正解なのか、そういう回だったと思います。正解なんてないんでしょうけど、一応"法"という正解はあります。その法こそ倫理とも言える。それじゃあ正解は倫理ということになる。難しい問題です。このドラマは"法"医学者の話ですが、どの法に則るのか、それさえ解釈がそれぞれに違う。解剖すること自体が法に触れるけれど、法を破ってまで行った解剖で罪が見つかれば、その罪は法に反する。む、難しい~~!アンナチュラル5話は結果として感情を選択したように見えます。
 でも感情を選択したから救いがなかったんです。恋人を殺された報復心で犯人に包丁を刺して、一体誰が救われるのか。刺された犯人は一命を取り留めましたが、それは偶然です。ほんの少しでも、鈴木くんは偶然に救われた。中堂さんなら偶然を起こさないと思います。そこが怖い!中堂さんが救われるためには報復心なんてものがあれば間違いなく邪魔になるのでしょう。
 しかし、鈴木くんが二度目の包丁を刺さなかった場合、それは倫理ではなく感情だと思います。鈴木くんには感情しかなかったのかもしれない。鈴木くんを動かした中堂さんこそ倫理と感情を問われる人間。
 倫理って結局何なのだろう。倫理を取ることで救われる人間なんてどこにいるのだろうか。本当に、難しい問題です。
 
 遺体の物語と共にUDIの面々の物語も広がるアンナチュラルがとてもおもしろいです。今週はミコトと中堂さんの距離(物理的にも近くなってますよね?!)と関係に変化があったり、久部くんも倫理と感情の狭間で揺らいだり。
 久部くん、悪質マス○ミ週刊ジャーナルに拾われてUDIに送り込まれて、UDIでいろんなものを吸収して自分のやっていることに対して倫理と感情の狭間でむしゃくしゃしていて、今週は彼もまたしんっっどかったです。ちょっと気になる存在のミコトさんも中堂さんといい感じに見えるしね…がんばれ…アンナチュラルきってのピュア担当……彼には叶いそうにない恋を通して成長してほしいです。
 
 ミコトと中堂さんを繋ぐものは重たい過去があるということ。一家無理心中の生き残りであるミコトは「同なんてされたくない」から、殺された自分の恋人を解剖した中堂さんに対しても「同情なんてしない、絶対に」とああいう風に言える。それは自分が同情されたくないからというだけではなく、中堂さんのやっていることを同情心で許されるものではないからかな。
 二人がいわゆる同族だと、ミコトは気付いているかもしれないけれど中堂さんは気付かない。同族なんて、そういうものとは違うのかもしれない。ところで闇からの分岐が対比である二人ってどうにもバディとして最高ですよね!

 情と言えば、中堂系先生の情の深さです。この人けっこう情があるなあと感じる瞬間が増えてきて、視聴者キラーめ…と思っています。
 その情がどこからきているのかって考えると闇が深くてこれがまたしんどいです。ぜんぶ、亡くなった恋人の糀谷さんを通して世界を見ているんだよね。恋人を亡くした鈴木くんに自分を重ねている中堂さん。鈴木くんのように一途に人を愛すことについて語りわちゃわちゃする久部くんと東海林さんを見て微笑む中堂さん。し、しんどい…。(このエントリー、しんどいって何回言えばいいのかな…)

ミコトと中堂さん

 中堂さんにはミコトに攻略された上でミコトを攻略してほしい(ノットラブ)と思っているのですが、今回いよいよミコトが中堂さんを攻略し始めましたね!(?)中堂さんの過去を知って、中堂さんの気持ちを考えて、でもあまりにも中堂さんが殻に閉じこもって危ないことを繰り返すからバカバカしくなって、その殻に外側からむりやりメスを入れた。物語が大きく進んだな~と思います。
 ミコトはおそらく1話から中堂さんに対する表面的な距離は変わっていませんが、中堂さんの方はどことなく距離が縮まっているところが見られます。それもぜんぶ無意識だろうなあ…指摘されたら目を丸くするんだろうなあ…(笑)中堂さんの些細な表情の変化がおもしろいです。
 ミコトに頼み事をするのについ命令しちゃうから、「命令ですか」って遠回しに人にものを頼む態度を指摘されて素直に「協力を要請する」ってちょっと恥ずかしそうに言い直すあたり中堂さんはかわいい人*1だなと思います。あのシーン、ミコトと中堂さんのバディっぽさが生まれててすっごい好きでした。
 他のメンバーがいる時はそうでもないですが、二人だけになると世界観がぐっと変わるなあと感じています。法医学者の世界…みたいな(伝われ)

 救いのない5話の中でも、二人の距離が近くなっている、そう感じるということが救いの光だといいなあと思います。

木林さんが生きてる

 2~4話は最後にちょろりと出る程度だった葬儀屋が今週は初っ端から出てきてしぬかと思いました。いっそ木林さんに弔われたい…。
 ご遺体の口の中をチェックしている木林さんが絶妙に絵になりすぎているし、社員に崩れた口調で話しかけられる誰にでも敬語な木林さんが最高だし、相変わらず手先の仕草がきれいだし、遺体が消えていて動揺する木林さんも血相を変えて叫んじゃう木林さんもかわいかったし、殺人現場に慣れてるっぽい木林さんの包丁を持つ手もハンカチを差し出す手もしんどいなあと思いました!!回を重ねるごとに出番も絶妙にしんどくなっていて6話が今から心配です。木林さんに荒く運転される車のドライブレコーダーになりたい。
 怪しさしかなかった木林さんですが、今週はとくにちゃんと葬儀屋のお仕事をなさっていたし、慌てる姿なんかは竜星さんだ~~ってなって(そりゃそうだ)人間味を感じた5話でした。木林さんと中堂さんの関係が分かるよ!って4話の時に公式さんが言っていた気がするのに未だよく分からなくて引っ張るなあ~などと考えています。糀谷さんの関係者なの?中堂さんとはいつからなの?(語弊)どんな育ち方をしたの?黒幕なの???分かっているのはこの人が微笑みの貴公子*2ということだけです。

死者と生者のエンド

 5話は生きるということとはまた別の側面から展開されていたように思います。または生きているからこそどうなのか、という一歩進んだ部分について。生きている限り情に振り回されるんだなあ。毎回違ったテーマがあるので飽きが来ないのもいいなと思います。ここまで感想文を書くのがすいすい進んで楽しい作品はなかなかありません。見て、考えさせられて、それをアウトプットしやすい。とはいえ見れば見るほど新たな発見もあって、それがまたおもしろいです。前回のエントリで「泣ける」ってなんだろうという話をしました。わたし個人の感じ方に過ぎませんが、今のところ4話が一番涙腺に響きました。ご遺体に対してはっきりとしたハッピーエンドが訪れたのは4話だけかな。ご遺体にハッピーもバッドもあるのかっていうのはまた別の話で。5話は救いがなくて痛々しさすら感じて、誰にとってもバッドエンド。見ていてなんとも言えない気分になりました。こういう部分があってこそ、作品に対する"好き"という気持ちが固くはなるんですが。そして今回も音楽の流れ方が神がかっていてSUKIという気持ちでいっぱいです。入りもサビのタイミングもあの何語か分からない曲のかかり方も完璧……す、すきだ~~~!
 ナビゲート番組のナレーションと流れる映像のタイミングも完璧すぎてビビリ笑いしています(?)"それぞれの抱えるストーリーは…"ってところで中堂さんの過去の嗚咽って…………
★5話ダイジェスト&6話ナビゲート(~2/16)
tver.jp
★5話(~2/16)
tver.jp

 アンナチュラル、作品としても大好きだしほんとうにいいものを吸収しているなと思うし、最高ポイントが多くて出会えてよかったです。…と、救いのない5話を見ながら。来週を楽しみにまた一週間を過ごします。